MENU
時間がない.com  >    >  ソフトバンクの「ショートタイムワーク制度」から考える、新しい働き方①本質的な仕事って?

ソフトバンクの「ショートタイムワーク制度」から考える、新しい働き方①本質的な仕事って?


「働き方改革」に取り組む企業が増えています。とはいえ、残業を減らしたり、多様な働きかたを認めながら、生産性を高めることは難しいものです。しかし試行錯誤しながらも確実に実践している会社も、もちろんあります。

私たち「時間がない.com」は、世のなかの「時間がない」を解決する取り組みを紹介するメディアです。その視点から、あっと驚くような制度を取り入れて働き方改革を進めている企業を、特に紹介していきます。

まず今回紹介するのは、CSR活動の一貫として働き方を再定義しようと動いているソフトバンク株式会社。かねてから「魔法のプロジェクト」という障がいのある子どもたちの生活や学習をICTを使って支援する取り組みを行っているソフトバンクは、子どもたちの成長後、働くという部分においても彼らをサポートできるような「ショートタイムワーク制度」を導入していました。

今はまだ発達障害を抱えている方など一部の人々を対象に行われているこの制度ですが、私たちにも、本質的な仕事とは?という疑問を投げかけてくる、新しい働き方でした。いったいそれは、どんな内容の取り組みなのでしょうか? CSR統括部で働く梅原さんたちにお話を伺いました。

「魔法のプロジェクト」から見えてきた、社会の問題点

北風:ショートタイムワーク制度の始まりには、「魔法のプロジェクト」という取り組みが関わっていると伺いました。

梅原:はい。「ショートタイムワーク制度」の発端となった「魔法のプロジェクト」は歴史が古くて、およそ10年前から東京大学の先端科学技術研究センターとソフトバンクグループが一緒に行っています。携帯やモバイル端末を特別支援学校に無償で貸し出して、子どもたちに生活や学習の場面の「困り」に対して、それらを活用して「困り」をどうカバーできるかという事例をまとめています。

どういうことかというと、私たちも目が悪いと、メガネなしでは生活上大変困ります。

でもメガネをかけることで、いわゆる普通の生活ができるようになりますよね。それと同じように、ICTをうまく活用することで生活や学習の場においてさまざまな困難が解決できる場合があります。

北風:その子に合ったツールがあった方がいいということですね。

梅原:そうなんです。

ただ、それを解決するためだけに特化した新しいツールを作るのではなく、今ある技術をどう活かすのかという視点に着目しました。既に世の中はICT機器に囲まれていてそれには沢山の機能やソフトがついています。誰もが自然と自分なりの使い方をしているので、「こういう困りを持っている人はこういった使い方がありますよ」という事例紹介を行っています。アプリを活用して字を拡大したり、反転させたり、板書が苦手だったらカメラを使ったり。既存のアプリや技術を活用すれば、まるでメガネを使用した時と同じように、学習や生活の困りを解決できるのではないかという発信を行っています。

北風:事例を集めたことで見えてきたものがあったんですね。

木村:はい。東京大学の先端科学技術研究センターと一緒にやってきたんですが、研究室の先生の1人が就労について研究をされていて、子どもたちの教育における壁がICTの技術によって、だいぶ崩れてきたとおっしゃっていたんです。

ところが、そんな時代の流れにありながら、障がいのある方にとっての壁が壊れていないのが、就職です、と。

それを受けて変わらない理由を深堀りしたときに新しい働き方モデルが考え出されて、そのモデルを企業版に落とし込んだのが、この「ショートタイムワーク制度」なんです。

北風:過去の取り組みが、また新たな取り組み、ショートタイムワーク制度を生み出したんですね。

「ショートタイムワーク制度」から見えてきた、働き方の本質的な部分

北風:教育に比べ、就職では依然として障がいのある方にとって働きにくいモデルが変えられていないと分かってきたということですが、その理由は何だったんでしょうか。

木村:理由は、終身雇用の特徴にありました。その特徴は2点あって、1つはフルタイム労働。もう1つは、職務定義がないことです。

1目のフルタイム労働ですが、これはフルタイムで働くことが悪いという訳ではなく、短時間勤務を希望する労働者の働き口が少ないところに問題があります。

日本には障害者雇用率制度というものがあって、1企業45.5人以上を雇用している民間企業は、障がいがある人を全体の2.2%以上雇用しなければなりませんという法律があります(2018年11月時点)。

ところが、その雇用というものの定義では、週20時間未満だと雇用としてカウントしてくれないんですよ。障がいの等級によりますが、週20時間から30時間までで初めて0.5~1カウントされて、30時間以上働くと、やっと1~2カウントされます。

なので、週20時間未満で働きたいという方は企業から声をかけてもらいづらいんです。私たちはここを対象に施策を考えているという形になります。

北風:法律でサポートしきれていない、個別のニーズを抱えた人たちがたくさんいたんですね。彼らにどんなアプローチをしていくんでしょうか。

横溝:それに関わってくるのが、もう1つの問題である、職務定義です。

一般的な企業は、基本的にはマルチタスクの人を雇用します。

たとえば、ちゃんと目を見て話せます、正しく座って仕事ができます、身だしなみも綺麗です、という、いわゆる「一般常識とされるような普通」のことが色々できて、採用に繋がるのが一般的かと思いますが、発達障害の方の中にはそれが難しい方もいます。

仕事の能力は高いのに、面接で目を合わせて話せなかったばかりに落とされてしまうとか、過集中だったり、逆に集中ができなかったりという波があって長時間働くことができないから企業とマッチングできないという苦労をされています。

北風:ちょっとでもマルチタスクが入ってしまうと、途端にパフォーマンス落ちる方とかいらっしゃいますよね。

梅原:そうなんですよ。なのでショートタイムワーク制度は、働いている人の本質的な業務、ミッションを見直します。

たとえば、私のミッションはプログラマーです。ただ、いろいろ英訳したり、稟議を上げたりといったプログラマー以外の仕事もあったりします。

そういったなかで自分の仕事を分解して、ミッションに近い仕事は自分で、そうでない仕事をショートタイムワーク制度を利用した障がいのある方……私たちはショートタイムスタッフと呼んでいる方にやっていただきます。

北風:確かに、自分のやるべき仕事以外のものも、仕事にはあるものですよね。それを明確に定義づけて業務として仕分けることができれば、まさに時短ですね。

梅原:元来の終身雇用については人を雇用して、その人にあった雇用をアサインするって形なんですけど、ショートタイムワーク制度は、仕事を決めてから人をアサインします。

ある仕事があったら、それができる人を雇用するって形なんですね。なので、挨拶ができなくてもアイコンタクトができなくても、その仕事が遂行できれば評価するということになります。

それによって各々の仕事が明確になり、自分が何のためにここで働いているのかということが、ショートタイムスタッフだけでなく、私たち社員でも、明確になるんです。

RANKING

TAGS

お出かけ キッズアイテム キッチン ファッション 仕事 健康 子育て 家事 家電・電子機器 料理 時間がない 時間がない人のための木のトレイ 本と音楽 海外事例 生活日用品 趣味