【作者プロフィール】
2015年から2年間、ワーキングホリデイビザで渡英。首都ロンドンでホームステイをしながら語学学校に通う。
保育園ボランティア、カフェ、日系貿易企業で就労。ひょんなことから日本大好きなイギリス人の彼と出会い、地方都市ブライトンに引越しをして同棲を始める。
2017年にビザが切れたため一時帰国、1年間日本で働き、2018年に再渡英。
イギリス人と日本人の価値観は似ている!
イギリスといえば、18世紀から19世紀にかけて産業革命が起こり、世界で初めて蒸気機関車を走らせた国として有名です。産業革命によっていっきに暮らしが近代化をした頃から、イギリスでは「男は仕事、女は家庭」という考えが強くなりました。
第二次世界大戦以降は徐々に外に働きに出る女性が増え、現在は共働き世帯がほとんどです。
「女性は家庭を守っていた時代があるから家事が得意、だから外で働いていても家事は女の仕事」という考えをもつ人もいますが、今ではそのような考え方をする人を「古い」とする人が多くなり、夫婦で家事を分担するのが当たり前になっています。
「男は仕事、女は家庭」という、日本に似た思考をもっていたイギリス。私たち日本人がイギリス人から学べることはあるのでしょうか。
大事なのは感謝の気持ち。楽しく家事をできるコツ
欧米人はロマンチックで妻を大切にする、というイメージを抱いている人が多いのではないでしょうか。実際もそのとおりで、朝「おはよう」の挨拶をするのと同じ感覚で「I love you」と言います。
しかしこれは、夫から妻へ言うだけではありません。夫婦間はもちろん、親から子へ、子から親へも、イギリスの家庭では1日に何度も「I love you」を口にします。この言葉を言うことで、家族全員がお互いを愛しあい、尊重しあっていることを確認しているのです。
また、料理を作れば「おいしかったよ、ありがとう」、掃除をすれば「キレイにしてくれてありがとう」。感謝の気持ちを言葉で表すことが自然におこなわれているので、それを見て育った子どもたちも「ありがとう」を素直に言えるように育ちます。
不思議なことに、「ありがとう」という言葉は何度言われてもその効果が薄れることはありません。愛する家族から「ありがとう」と言われれば、面倒な家事も頑張ろうという気持ちになるのです。日本にはイギリスのように「I love you」をたくさん口にする文化はありませんが、感謝の気持ちはもっと言葉にしてもいいのではないかと思います。
ココが便利!イギリスの家事事情
ただ、「愛する家族のため」とはいっても、家事が面倒なのも事実。イギリスの共働き家庭はどのようにこなしているのでしょうか。
洗濯は1週間に1回だけ
イギリスの家庭では、洗濯は週に1回しかしないのが一般的。雨が多いため外に干すことができず、なかなか乾かないので、まとめて洗ってまとめて乾かすのです。
洗濯物が溜まると、大きな洗濯機でいっきに洗いあげるスタイル。洋服やタオルは足りなくならないように常備しておきます。
たとえば赤ちゃんがいる家庭でも、染みがついた洋服もかまわず1週間放置!イギリスの洗濯機は洗浄力が強いので気になりません。
水が硬いので、乾かした後はパリパリになり、アイロンをかけなくてよいのが嬉しいポイントでしょうか。
イギリスの会社は残業なし!
イギリスが日本と大きく異なる点は、ほとんどの会社に残業がなく、定時に終わるということです。夕方には家族全員が揃うことができます。
とある日は妻が子どもを迎えにいって、夫が夕食の準備を。とある日は夫がスポーツジムに行き、妻がお迎えと夕食の準備……もちろんその逆もあります。アフター5をしっかりプライベートに使えるので、夫と分担して家事をこなしています。
シンプルなワンプレート料理で時短!
日本食は、基本が一汁三菜。ご飯のお茶碗、味噌汁のお椀、小鉢……と食器がたくさんあります。盛り付けにもこだわったりと、繊細で美しいですよね。ただその分、後片付けが面倒なのが悩みの種です。
一方でイギリスの食事は、ワンプレートだけ。ひとつのお皿に、メインのお肉も付け合わせの野菜も主食のポテトもすべて乗っています。
またイギリスはナイフとフォークで食べるのが一般的なので、料理をする時に食べやすい大きさに切るわけではなく、食べる時に自分で切るスタイル。日本人からすると、大雑把に見えてしまうかもしれません。
料理自体もシンプルなものが多く、そのためか「イギリス料理はまずい」と言われてしまうことも多いですが、調理や後片付けの時間の速さはどこの国にも負けません。
私がホームステイをしていた家庭の食事もいつもシンプルでしたが、けっしてまずくはなく、素朴な料理もいいなと感じていました。
ただイギリスはお惣菜をほとんど売っていないので、そこは日本が羨ましいところです。日本で共働きをしている家庭は、出来合いのものを上手に使って時短料理をすることが多いかもしれませんが、イギリスでは料理をしなければならない分、シンプルなものが多いのかもしれません。
後編はこちら。