フルタイム共働きがあたりまえ!シンガポールの夫婦事情
日本でも共働き世帯は増えていますが、まだまだ発展途上な印象。ここで注目したいのが、シンガポールです。
なんと84%の世帯が共働きをしていて、日本の54%と比べるとかなりの違いがあることがわかるでしょう。女性の就業率も60%と、活躍しやすい国だといえます。
では出生率を見てみると、2015年の調査では1.24と、日本の1.45を大きく下回っています。しかし子供を持つ母親世代の就業率は高く、ほとんどの女性が産後4ヶ月で仕事復帰をするそう。
そこで今回は、なぜシンガポールでは共働き世帯がこんなにも多いのか、制度やお国柄からその理由を探っていきます。日本で働く私たちも参考にできることがあるのではないでしょうか。
知っておきたいシンガポールの制度とお国柄
出生率は低いものの、共働きが非常に多いシンガポール。具体的にどのような制度があるのでしょうか。
1:産休・育休が短い
シンガポールの産休は出産の1ヶ月前から、産後3ヶ月ほど。日本だとそのまま続けて1年ほど育休をとる人が多いですが、シンガポールでは3ヶ月たてば早々に職場復帰をする人が多いのです。出産を挟む16週間は会社から給料が支給されます。
2:ベビーボーナス制度がある
シンガポールでは出産時にベビーボーナスという祝い金が現金で支給されます。これは政府主導の政策で、1〜2人目の場合は4000シンガポールドルで、日本円にするとおよそ32万円です。他民族国家であることから、人材が国の財産だという考えが浸透しているようです。
また親が子どものために積立口座を開設すると、上限はありますがそこに積み立てた額と同額を政府が積み立ててくれる仕組みがあるのも特徴です。そのお金は教育関係にしか使えないよう制限されていて、子どもの将来や子育てのしやすさを考えたシステムだといえるでしょう。
3:保育料の助成制度がある
シンガポールの保育料助成制度は、現金ではなく助成金が差し引かれていくシステムです。フルタイムで働いて1日中保育園に子ども預ける場合、親に600シンガポールドルが助成されます。半日勤務で300シンガポールドル、フレックスタイムの場合も時間ごとに助成金のランクが決められているのが特徴です。
4:メイド税が控除される
シンガポールの消費税率は7%と、日本とほとんど差はありません。ただシンガポールではメイド文化があり、外国人のメイドを雇う際にプラスして税金を払う必要があります。
その金額は、外国人メイド1人あたり265シンガポールドル。日本円でおよそ2万1000円です。ちなみにメイドのひと月あたりの給料は3万6000円ほどなので、なかなか高い税率であることがわかるでしょう。
しかし、このメイド税を支払うのが女性の場合、かかった税金の約2倍の控除を受けることができるのです。払った金額よりも多くのお金が帰ってくるのはありがたいこと。女性の社会進出を助けるために考えられた制度で、就業率の高さを後押ししています。
5:親が近くに住んでいる
シンガポールは国土が小さく、その大きさは東京23区ほどしかありません。必然的に過密化が進み、独立した後も親が近くに住んでいることが多いのです。子育てを手伝ってもらいやすい環境だといえるでしょう。
また親と同居をすることでもらえる助成金もあり、子どもが生まれた後も社会復帰をしやすい環境が整っているのです。
シンガポールのハウスキーパー制度
シンガポールの共働き世帯が多い理由を語る際に、忘れてはいけないのが「ハウスキーパー制度」です。働いている間に家のことを任せられる、メイドを雇うことですね。
シンガポールで外国人のメイドを雇う際は、派遣エージェントを介す必要があります。仲介料は1000~2000シンガポールドル。日本円で8万~12万円です。
そのほか、毎月のメイドの給料が3万6000円、メイド税が2万1000円かかり、メイドの衣食住にかかる費用も雇い主が出します。
出費が多く見えますが、先述したとおりメイド税は控除が受けられるので、ハウスキーパー制度を利用して共働きをしている家庭が多いのです。家事や育児をメイドに任せ、仕事に集中できる環境を積極的に作っているといえます。
日本でもマネできる?シンガポール流ハウスキーパーのいる生活
日本で家事代行サービスを依頼する場合、家事のなかでも掃除や料理などピンポイントのお仕事を頼むケースが多いです。しかしシンガポールではメイドが住み込みで働いているため、ハウスキーパーとして家のことを隅々までおこなってくれます。
では彼らが具体的にどのような仕事を頼んでいるのか、見ていきましょう。
1:家事全般
夫婦が仕事をしている間に、掃除や洗濯、食事の準備などの家事全般をこなしてくれます。住み込みなので朝起きた時から夜寝るまで、家のことを任せられるのです。そのため夫婦は長時間仕事をすることができ、帰宅した後も、家事に追われることなく子どもとの時間にあてられます。
2:子どもの勉強をみる
共働きをしている場合、たいていは両親よりも学校に通っている子どもの方が早く帰宅します。親が帰宅する前に課題や宿題などの勉強を見てくれるので、帰宅後は親子の時間をゆっくり過ごすことができます。
3:保育園や幼稚園などの送り迎え
日本では、送り迎えがあるために母親がフルタイムで働けない場合が多いのではないでしょうか。シンガポールではメイドが送り迎えなどをしてくれるので、朝も夕方も時間を気にせず、フルタイムで仕事に集中できるのです。
では日本で、シンガポールのようにハウスキーパーを活用することはできるのでしょうか。
日本では基本的に時間単位で給料が決められているため、住み込みで家事全般をお願いする仕組みは定着しづらい現状があります。もっとも活用できるのは、溜め込んでいる家事のみを依頼することではないでしょうか。たとえば食器洗いや洗濯、部屋の掃除、食事の仕込みなどが挙げられます。
これくらいであれば、おそらく3時間ほどで完了できるうえ、家事代行サービスも充実してきています。シンガポールのハウスキーパー制度を知ると、家族以外の人に家事を頼むことにも抵抗がなくなるのではないでしょうか。仕事から帰宅した後にやるのが億劫だと思う家事をあらかじめリストアップし、活用してみましょう。